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大人の投資入門―真剣に将来を考える人だけに教える「自力年金運用法」 人気ランキング : 163位
定価 : ¥ 1,365
販売元 :PHP研究所
発売日 : 2008-01-12
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : ¥ 1,365
論理的かつ合理的な「私的年金」運用方法!

さまざまなマスコミと呼ばれる情報屋さんたちによって、
不審の目で見られた嫌いのある日本国の年金制度ですが、

本書を読むことで、煽動的な扱いを一蹴するだけの根拠がしっかりと示されていて、
世界最大の国営投資ファンドとしての、年金積立金管理運営独立行政法人(GPIF)が、
ローリスク・ローリターンを旨としながらも、運用実績を積み上げているかが分かります。
(これから年金保険料を支払う人にも是非とも読んで欲しい部分です)

北村さんの主張は、こうした「公的年金」の安定性を一定の自己資産として認めつつ、
今後の日本がたどる少子高齢化に伴う「年金ギャップ」に備えて、
「公的年金」に加えて、「私的年金」を備えておくべきではないか、ということです。

では、具体的に「私的年金」の運用をどのようにしたらいいのか、
こうした素朴な疑問に、次のような指針を提案しています。

 1 超長期運用
 2 パッシブ運用
 3 低手数料運用

これらの運用方法がもたらす実利的な側面についても、
しっかりとフォローされていて、懇切丁寧に解説してくれています。

世界の富豪が実践している手法や学術的なアプローチなど、
極めて論理的かつ合理的な説明があることで、
特定の金融商品を勧める営業マンとは全く違って、
しっかりとした運用哲学に基づいた、著者の良心を感じさせる件が多々あります。

金融知識が豊富な人ならば、分かりやすぎるかもしれませんが、
そうでない私を含めた初心者の人間にとっては、
若干取りつきにくい表現もあるかもしれません。

それでも、自分の将来のことをきちんと考える意志が少しでもあるならば、
冷静な分析をもとに著者が伝えようとしている本質的な部分を理解することができるはずです。

分からなくなったらもう一度、原点に戻るという意味で、
何度か読み返したい一冊になりそうです。

ただ、前著『貧乏人のデイトレ・・・』の記述と重複する個所も多数あり、
新鮮味に欠けるという意味で、星ひとつ減点させていただきました。

運用のリテラシーはこれだけ

 投資の目的を定年後のセカンドライフに絞り、公的年金と定年時資産では不足する部分を埋めるための私的年金づくりが主題である。アセットアロケーション(資産分配)を考える際に、公的年金も資産の一部と考える視点はユニークである。これに則ると、公的年金の運用は国債を中心とする国内債券なので私的年金部分は「外国株式・国内株式だけで十分」という主張には納得がいく。考えられるベストな投資商品が具体的に挙げられているが、私自身が毎月自動的にM証券から購入しているファンドが国内株式、外国株式とも入っていたのを見て、あながち悪い選択ではなかったと安心した。

具体的な実践法をも記した、私的年金形成のための手引き

著者の北村慶氏は、2006年4月に「貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント」という、株式のトレーディングに代表される短期の取引を「真の資産形成」には向いていない方法として批判し、資産配分を第一重点として年金不安に対処できる資産形成を行うべきという書籍を刊行するなど、長期的視点を念頭に置いた資産運用法を研究し、説いているビジネス本作家です。

この本は上記の「貧乏人?」の改訂や補記を兼ねた内容ともいえるべきもので、まず序章で積立を活用した投資法がタイミングを計る投資法に劣らないことがあるということを示した後、第1章で現行の年金制度だけだとどれだけ老後資金が不足するのだろうかという検証をし、そして第2・3章で、その年金原資が日本および世界においてどのような仕組・資産配分にて運用されているかを説明し、第4章以降に本題として、では公的年金を補完する形でどのような「私的年金造り」(老後のための資産形成)をすればよいかを指し示す・・・という構成になっています。

前書に比べると、第5章で読者へ「どの投資信託を活用すればよいか」を具体的に示しているなど、実践面を考慮した多くの情報が含まれており、評価出来るものだと思いました。

公的年金と私的年金ではその仕組が根本的に異なるのに、資産配分を単純に合算して考えてしまう所や、日本と世界の配分比率を「筆者の思い」に基づいて均等にしてしまう所など、内容に疑問符がつく所ももちろんいろいろありましたが、全般的には投資関連書籍の中では上出来のものだと感じています。

非常に理に適った意見

本書は資金運用者の目から見ても、非常に理に適った意見です。通常の街に溢れかえるどうしたら自分だけが人を出し抜いて、利口に運用するかといったマネー本とは全く違います。そもそも資金運用の理論から大きくかけ離れた破天荒な財テクものが多すぎました。本書の優れた点はまず公的年金を個人ポートフォリオの中核と考え(実際そのとおりです)それを補完する国内外の株式ポートフォリオを構築し、アロケーションを行うことを教えてくれます。非常に優しい語り口で、難しい用語で煙に巻き誤魔化すような事は本書とは無縁です。誠実に書かれた文章であることが分かります。実行するのも簡単でスタートするには現在のようなマーケット水準は有利と考えられます。著者の金融マンとしての誠意が滲んでいます。推薦します。

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